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この場所の物語
西川材という言葉を、はじめて耳にしたとき、木の匂いがした気がしました。山から切り出された材が川を下り、人の暮らしを支えてきた、その記憶が飯能の町のどこかにまだ残っているんです。福徳寺の阿弥陀堂の前に立つと、その静かさが、ふだんの自分のざわつきをすこし落ち着かせてくれるんですよね。
名栗湖のほとりにあるさわらびの湯で湯につかりながら、山の輪郭をぼんやり眺めていると、ここに拠点を置いて暮らすことの、ちょうどいいぐあいが、なんとなくわかってくる気がします。伊豆ヶ岳へ向かう道も、駅から歩いて入っていける山道も、PC を閉じた夕方にそのまま出かけられる距離にあって、それがうれしいんです。秩父多摩甲斐の自然公園がすぐそこにある、という感覚は、暮らしのなかの余白として、じわじわと効いてくるものだと思います。
メッツァのあたりを歩くと、ムーミンバレーパークという、ちょっとふしぎな場所が、山里の景色とならんで存在していて、それが案外しっくりきているんですよ。飯能焼や四里餅のような、地に足のついたものが町のなかにあって、テーマパークの賑わいと、古い店蔵の静けさが、同じ通りに混ざっている。そのいりまじり方が、飯能という場所のいちばんおもしろいところだと、わたしは思っています。
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