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この場所の物語
武蔵野台地の端に、いくつもの湧水がひっそりと湧いている。滝の根公園のあたりに立つと、地面からにじみ出る水が小さな流れになっていて、東京近郊の住宅地の中にこういう場所があるんだなあ、とすこし驚く。
川越街道の宿場町だった膝折宿の記憶と、水車や伸銅業で動いていた産業の記憶を、朝霞市博物館がていねいに手元に置いている。ふだんの散歩のついでに立ち寄れる距離感がいいんですよね。旧高橋家住宅を見ると、土地が積み重ねてきた時間のぐあいが、建物の木の色でそのまま伝わってくる。
東武東上線の朝霞駅から東京へ出るのも、国道254号で川越方面へ向かうのも、どちらもすっと動ける。それでいて、広沢の池のそばを歩くと、越戸川の源泉が静かにそこにあって、ニンジン畑の土のにおいがどこかに残っている。彩夏祭の頃には、ふだん静かな街に人の声と熱気がぐっと増して、この土地の底にある元気みたいなものが表に出てくる。暮らしの場として使いながら、土地のことを少しずつ知っていける、そういうペースの場所です。
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