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この場所の物語
木造の駅舎が、ちいさな出迎えをしてくれる場所なんですよね。高鍋駅に降りると、平坦な土地に空が広くひらいていて、小丸川の橋梁がその向こうにゆったりと架かっている。日向灘に向かって注ぐ川と、沖積平野の静かな地形が、この町のふだんの呼吸を決めているんだなあ、と思います。
高鍋藩の藩校・明倫堂の名を冠した「めいりんの湯」で湯に入りながら、この町が教育をたいせつにしてきた歴史のことを、なんとなく考えてしまうんです。岩風呂や檜風呂に浸かって、源泉掛け流しのお湯に身をゆだねる時間は、長く滞在する人にとっても、ちょっと立ち寄った人にとっても、同じようにありがたい。高鍋町美術館が大原美術館と縁を持ち、石井十次や児島虎次郎のゆかりを引き受けている、というのも、この町の教育への向き合い方と、どこかつながっている気がします。
舞鶴公園の城堀に水が張られているのも、高鍋大師の石像が日向灘を見下ろしているのも、天然牡蠣や焼酎が地のものとしてある暮らしも、ぜんぶが同じ地面の上にあるんです。促成栽培の野菜や畜産の産業が根を張る農村的な土地で、毎月ひらかれる高鍋まちなか元気市のような場所が息づいている。外から来た人が、すこしずつこの町の奥行きに気づいていく、そういう順序がちゃんと用意されているんですよね。
宮崎県高鍋町に泊まる