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この場所の物語
塩田のあとに、海がある。うたづ臨海公園に復元された入浜式塩田を見ていると、古代からここで何かが積み出され、送り出されてきた港の記憶が、砂の手触りとともに伝わってくるんですよね。
宇多津という町は、青ノ山と瀬戸内海のあいだに、ほんとうにこぢんまりと収まっている。それでいて、四国水族館のある埋立地から郷照寺の石段まで、歩いて移動できる範囲にずいぶんいろんな時間が詰まっているんです。PCを開く場所を探しながら散歩していても、塩竃神社の鳥居や北浦漁港の漁船がふいに視界に入って、ちょっと手を止めたくなる。
海ホタルの産業資料館で塩づくりの道具を眺めていると、この小さな町が長いあいだ、日本の台所のどこかにつながっていたことがわかって、すこしふしぎでいいなあ、と思う。ゴールドタワーが空に突き出た景色と、石畳の参道が同じ町にあるのも、宇多津のぐあいのよさというか、層の厚さというか。来る人それぞれが、自分の速さでこの町に慣れていける気がするんです。
香川県宇多津町に泊まる