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この場所の物語
虎杖浜の海岸線を走る国道沿いに、たらこを加工する工場の灯りがある。そのすぐ海側に温泉の宿が並んでいて、湯あがりに白老牛の肉の匂いがどこかから漂ってくる、そういう夜があるんです。
ウポポイという言葉は、アイヌ語で「おおぜいで歌うこと」を意味するそうで、国立アイヌ民族博物館を中心に据えたその場所は、ただの観光施設というより、この町が何を大切にしているかを、静かに、でもはっきり示しているんですよね。倶多楽湖の水の透き通り方や、インクラの滝の落差44mという数字よりも、そこへ続く遊歩道をひとりで歩いてみたときの、足の裏の感じのほうを、ずっと覚えていそうな気がします。
社台牧場や白老ファームで生まれた馬たちが、全国の競馬場へ出ていくのと同じように、この町からはいろんなものが外へ向かっていく。でも、虎杖浜温泉の茶褐色のモール泉に浸かっていると、出ていくのをすこし忘れて、ここにいてもいいかなという気持ちになるんです。新千歳空港から道央自動車道で四十分という近さが、その気持ちをちょうどよく支えてくれる、いいなあと思います。
北海道白老町に泊まる
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