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この場所の物語
炉端焼きの煙と、スパカツの鉄板が運ばれてくる音が、この港町の夜をつくっているんです。釧路港を出入りするコンテナ船と、桂恋の漁港から水揚げされるスケソウダラやサンマが、ふだんの暮らしの土台にあって、食べることと働くことが、ここではまだ太い一本の線でつながっているんですよね。
釧路湿原国立公園と阿寒湖という、ふたつの国立公園を市域のなかに持つというのは、すこし考えると、なかなかふしぎないいぐあいで、駅から電車に乗ればじきに湿原の端に出られるし、北西へ向かえば雌阿寒岳や雄阿寒岳がどんと待っている。イオンモール釧路昭和で買い物をして、夜は釧路第一商店街を歩いて、週末に湿原の縁を散歩する、という暮らしのリズムが、ごく自然に成り立つんです。
3月になると福司酒造が蔵を開けて、清酒福司を手に人が集まる。くしろ港まつりや千燈祭が巡ってくると、港と町がひとつにつながるような、そういう年の重なりかたをしている土地で、釧路空港から降り立った人が、湿原の空気と炉端の煙を同じ一日に体験できるというのは、ほかではなかなか味わえないことだと思うんです。
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