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この場所の物語
昆布の香りが、波音よりも先に届く。利尻島の西側、沓形や仙法志といった集落は、山と海のあいだにほそく刻まれていて、ふだんの暮らしがそのまま地形に沿っているんですよね。新湊の漁港では、利尻昆布やウニが水揚げされて、島の時間がそこから動きはじめる感じがする。
利尻ふれあい温泉の露天風呂から日本海を眺めていると、稚内までフェリーで渡ってきた距離が、じわっと体に戻ってくるんです。島内の交通は限られているから、自分の足と時間をどう使うかを、ゆっくり考えることになる。見返台園地まで車で上がれば、利尻山の五合目から島全体の輪郭が見えて、ああ、ここはこういう場所なんだなあ、とすこし整理される。
利尻町立博物館には、亦稚貝塚の遺物が並んでいて、ラナルド・マクドナルドが上陸したことも、文化露寇のことも、ここでは同じ棚に収まっている。仙法志御崎公園でゴマフアザラシを見かけたりしながら歩くと、観光でも移住でもない、もうすこしちょうどいい距離感で、この島に関わりたくなってくる。
北海道利尻町に泊まる