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この場所の物語
厚岸湾の奥へ、潮と霧が重なるように入ってくる。その水際に、カキえもんやナガえもんと名前のついた牡蠣が育ち、かきめしの駅弁を手がける氏家待合所が1917年から変わらずそこにある、という話が、この町のふだんの縮図なんですよね。
別寒辺牛湿原はラムサール条約に登録された湿地で、カヌーを漕ぐと葦の向こうに空だけが残るような静けさがある。厚岸蒸留所では道東初の本格ウイスキーが仕込まれていて、見学ツアーで蒸留の香りをすこし浴びてから、また湿原の風に戻るという一日の動き方が、ここではごく自然に成立するんです。
アイヌ語に由来する地名が地図のあちこちに残り、1804年に建てられた国泰寺の跡地には樹齢180年を超える老桜樹が立っている。そういう重なりをうっかり踏んでしまうような感覚が、厚岸を歩いていると何度もあって、それがふしぎでいいなあと思うんです。
北海道厚岸町に泊まる
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