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この場所の物語
渡良瀬川と利根川にはさまれた低湿地に、いくつもの沼が静かにたたずんでいるんですよね。城沼のほとりを歩くと、江戸期に榊原康政が入城してから積み重なってきた時間が、土の湿り気とともに足の裏に伝わってくるような気がします。
茂林寺の分福茶釜も、つつじが岡公園のツツジも、どこかふだんの暮らしの延長線上にあって、「見にいく」というよりも「そこにある」という感じなんです。多々良沼のほとりに立つ群馬県立館林美術館では、彫刻やインスタレーションが自然の中にそっと置かれていて、散歩のついでにすこしだけ立ち止まれる、そういうぐあいになっているのがいいなあと思います。
うどんや醤油、製粉業の歴史を伝える製粉ミュージアム、そして館林唐桟という綿織物——この土地の産業は、小麦と繊維と水が混ざり合ってできたもので、それが今もふだんの食卓や街の空気にじわりと残っています。首都圏からのアクセスも悪くなく、何日かPCを持ち込んで過ごすのにも、一度じっくり歩いてみるのにも、どちらにも開いている土地だなあと感じます。
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