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この場所の物語
堤防の上を歩くと、川がすぐそこにある、という感覚がずっとついてくるんですよね。揖斐川と長良川に挟まれたこの輪中の地は、江戸期から水と折り合いながら田を耕してきた場所で、その長い時間の積み重ねが、町のあちこちに、ふだんの顔をして残っている。
歴史民俗資料館には四郷遺跡の土器や輪中の生活用具が並んでいて、ガラスケースを覗くというより、むかしの台所を覗いているような気分になるんです。懸崖菊という、枝を幾重にも垂らして育てる菊の文化がこの地に根づいているのも、水と土と手仕事が重なってきた場所ならではだなあ、と思う。
加毛神社の左義長や粥つけ神事が今も続いていて、農村の祭事暦がちゃんと生きているのがいい。国道258号を走れば暮らしの用はほぼ足りて、アーリオンホールで音楽を聴く夜もある。鉄道の駅がないことを不便とみるか、静けさとみるかは、ここで過ごす時間の長さによって、すこしずつ変わってくるんだと思う。
岐阜県輪之内町に泊まる