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この場所の物語
砥部焼の白い器が、窯元の棚にずらりと並んでいる。その白さは、ただの白じゃなくて、陶石と水と火の時間が重なった白なんですよね。200年以上、この土地の人たちがそれを積み重ねてきた。
松山市からバスで45分ほど南へ下ると、砥部川沿いの集落に入っていく。陶街道ゆとり公園のあたりを散歩していると、窯の気配と緑がいっしょに漂ってきて、ふだんの暮らしのなかに工芸が溶け込んでいるのがわかるんです。陶芸創作館で自分の手を動かしてみると、その感覚がもう少しはっきりする。
障子山の方へ目を向けると、南は四国山地へつながる山地になっていて、北は松山平野がひらけている。砥部衝上断層という国の天然記念物が、地面の下の長い話を静かに教えてくれる場所でもある。愛媛県立とべ動物園やえひめこどもの城が近くにあるのも、この土地がふだんの生活と地続きであることの、ひとつのしるしだと思うんです。
砥部焼祭りやほたるまつりといった祭事が年間を通じてあって、土地のリズムがちゃんと残っている。器を買うためだけじゃなく、その器が生まれる場所に少しのあいだいてみると、なにかが変わる気がするんですよ。
愛媛県砥部町に泊まる