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この場所の物語
九十九里浜の風が、田んぼのほうまで届いてくる、そんな土地なんですよね。大網駅を降りると、外房線と東金線が交わる小さなホームがあって、東京から一時間ほどでここまで来られるのに、目の前には九十九里平野の田園がひろびろと続いている。白里のサーフスポットへ向かう道も、イチゴ畑のそばを通っていたりして、海と農業が、ふだんの暮らしのすぐ隣に並んでいるんです。
正法寺や本国寺といった日蓮宗の本山が、この町にふたつあるというのは、ちょっとおどろくことで、かつて「檀林」と呼ばれた学びの場がここに根を張っていたんだなあ、と歩きながら思います。縣神社の大杉は天然記念物で、その木の前に立つと、この土地が積み重ねてきたものの重さを、すこし感じることができます。毎週日曜日の朝市や遊楽市には、真紅の美鈴というイチゴが並ぶこともあって、地元の人と同じリズムで週末を過ごせるのが、いいんですよね。
長く滞在するほど、海岸部・田園・丘陵という地形のグラデーションが体にしみてくる、そういう場所です。小中池公園のため池のそばで本を読んでいると、東京からここまで来た距離が、ちょうどよい「ずれ」として感じられて、それがこの土地の手触りだと思います。
千葉県大網白里市に泊まる