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この場所の物語
館鼻岸壁の朝市に並ぶ露店を、まだ空が白むうちに歩いていると、この街の体温みたいなものが伝わってくるんですよね。八戸港から上がるイカやサバが、生活のすぐそばにある。それが、ふだんの買い物の感覚のまま続いているのが、いいなあと思うんです。
根城の城跡や縄文の国宝合掌土偶を持つ八戸市博物館は、歴史の厚みを静かに保ちながら、街の日常と地続きに存在しています。八戸ブックセンターのような公営の本屋が2016年に生まれたことも、この街が「ふだんの暮らしの質」をちゃんと考えているんだなあ、という感じがして、すこし、うれしくなります。東北新幹線で東京とつながっているから、仕事の拠点として使いながら、みろく横丁で南部煎餅の入ったせんべい汁を夜にすする、という暮らし方もできるんです。
種差海岸の芝生の上に立つと、三陸の海が目の前にあって、絵の題材になった景色がそのまま残っています。工業港としての八戸港と、縄文から続く歴史と、氷都と呼ばれるスケートの文化が、ひとつの街の中に重なっているのが、ちょっとふしぎでいいなあと思うところです。
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