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この場所の物語
地平が、どこまでも水平なんですよね。山も川もなく、ただ整然と区画された水田が、視界のはてまで続いている。八郎潟を干拓してつくられたこの村は、海抜ゼロメートルの地面の上に、人の手で一から引かれた道と水路で成り立っていて、そのまっすぐさが、ふだんの散歩でもじわじわと伝わってくるんです。
あきたこまちの田んぼのかたわらに、全長二十五キロのソーラースポーツラインが走っていて、農業と太陽光の技術が、同じ風景の中にふつうに並んでいる。大潟富士という人工の築山があって、比高はほんのすこしだけれど、この土地では「山に登る」という行為そのものが、ちょっとたのしい冗談みたいになっている。
道の駅おおがたに立ち寄ると、隣に大潟村干拓博物館があって、この村がどうやって生まれたかを、じっくり知ることができるんです。ポルダー潟の湯で湯につかりながら、干拓地の夕空をながめていると、ここが「つくられた土地」であることを、おだやかに、でもはっきりと感じる。どこにでもある村ではなく、意志によって出現した場所なんだなあ、と。
秋田県大潟村に泊まる