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この場所の物語
春の夜明け前、滑川漁港に立つと、富山湾の水面がほのかに青白く光るんです。ホタルイカが岸近くまで群れで寄ってくる、あの光景は、何度見ても「ほんとうにそういうことが起きるんだなあ」と、すこし呆然とするくらいで。ほたるいかミュージアムで生態を予習してから港へ出ると、海と生きものへの解像度がぐっと上がって、見え方がちがってくるんですよね。
北陸街道の宿駅町として栄えた古い街並みの気配と、精密機械や医薬品をつくる工場の静かな気配が、同じ町の中にすっと同居しているのも、滑川のおもしろいところです。売薬の拠点だったという歴史が、「つくる」ことへの実直さとして今もどこかに息づいているみたいで、暮らしの土台がしっかりしている感じがします。行田公園の「行田の沢清水」のそばでお昼を広げたり、早月川温泉でナトリウム・硫黄泉にゆっくり浸かったりと、ふだんの一日をのんびり組み立てやすいのも、この町のいいところだと思います。
北アルプスを背に、富山湾を前に、コシヒカリやさといもが育つ扇状地の平野——という重なりが、ここでの暮らしにはあって。駅が町の中にいくつも点在していて、富山市や魚津市へもすっと出られる。滞在の拠点として使うとき、その「どこへでも行ける感じ」と「港町の固有性」がちゃんと両立しているのが、滑川のちょうどいいぐあいだと思うんです。
富山県滑川市に泊まる
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