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この場所の物語
黒部川の伏流水が地面からそっとにじみ出てくる、あの感じを知っていますか。名水百選にも選ばれた黒部川扇状地の湧水は、ふだんの暮らしの水道水にまで届いていて、台所でそれを使いながら「ああ、山からきた水だな」と思う瞬間が、この土地の日常なんですよね。
黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は1922年に開業していて、峡谷の岩壁をゆっくりたどりながら宇奈月温泉へ向かう道のりは、乗るたびに、人間がどれだけ険しい場所に手を入れてきたかを、静かに教えてくれます。宇奈月ビールを道の駅うなづきで買って、温泉上がりに飲む、というごく小さな段取りが、長く滞在する人にはちょうどいい「その日の終わり方」になるんです。
黒部漁港そばの「魚の駅生地」で富山湾の海の幸を見ていると、山と海がこんなに近い場所に暮らすってどういうことか、少しわかる気がします。生地鼻灯台の白黒の塗り分けが日本海と富山湾の境を示しているように、この土地はいくつもの「境目」をごく自然に抱えていて、それがふしぎでいいなあ、と思うんです。
富山県黒部市に泊まる