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この場所の物語
都幾川のせせらぎが、台地と丘陵のあいだにひっそりと落ちている、そういう場所なんですよね。嵐山渓谷を歩いていると、京都の嵐山に似た景色だと本多静六が感じたのも、なんとなくわかる気がして、川と木と光のぐあいが、どこか奥ゆかしくていいなあ、と思うんです。
菅谷館跡に建つ埼玉県立嵐山史跡の博物館では、源義仲や畠山重忠ゆかりの中世の資料がひっそりと並んでいて、鎌倉街道上道がこの土地を通っていたことを、静かに教えてくれます。歴史がふだんの散歩道と地続きになっているのが、この町のすこし変わったところで、中世の城館跡のそばを、ごく普通に歩けてしまうんです。
駅前に戻れば嵐山辛モツ焼そばの看板があって、渓谷と史跡だけじゃなく、ちゃんと今の暮らしの匂いもする。東武東上本線の武蔵嵐山駅から都内へのアクセスもあるし、関越自動車道のインターも近いから、自分のペースで出たり引いたりしながら、この町の静けさを手元に置いておける、そういうぐあいが、長く居たい人にはうれしいと思うんです。
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