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この場所の物語
東京湾アクアラインを渡りきったところに、この町の玄関がある。海の上を走ってきた実感がまだ体に残っているうちに、あさりや海苔の産地の空気の中に降り立つ、その感じがなんともいいんですよね。江川海岸の遠浅の干潟では、潮が引くと人々がしゃがんで砂をさわっていて、港町として江戸期から続いてきたふだんの営みが、いまもちゃんとここにある。
證誠寺と狸まつり、吾妻神社の鏡ヶ池、木更津市郷土博物館金のすずに収められた金鈴塚古墳の出土品——この町には、歴史の層がいくつも重なっていて、散歩しながらそれをひとつひとつ拾っていくのがたのしいんです。童謡のモデルになったお寺が、ふつうに町の中にある。そういうぐあいで、物語と暮らしの距離がとても近い。
アクアラインで東京方面へのアクセスが開けていながら、金田漁港の水産業や農業がそのまま残っていて、都市と産地がひとつの町の中に同居している。木更津図書館や太田山公園のきみさらずタワーといった、ふだん使いの場所も整っていて、ここに拠点を置いて、海と歴史と仕事をゆるやかに行き来するという暮らし方が、なんとなく思い描けてくるんです。
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