温泉
この場所の物語
千歳川の流れが、静岡と神奈川のあいだをゆっくり分けているんです。でもその境界線は、実際に歩いてみるとほとんど感じられなくて、両岸の温泉街がひとつの時間を共有しているようなふしぎな場所なんだなあ。単純温泉というのは、つまり湯がすなおなんです。
肌にやさしく、浸かっていると余計なことを考えなくなる、そういう温度感がある。旅館は7軒と小さくまとまっていて、長く泊まるほどに、場所との距離がちょっとずつ縮まっていく感覚があります。生活拠点として考えると、湯河原駅から歩いて入れるこの静けさは、日常と地つづきに置けるものがあるんですよ。
訪日客にとっては、県境という線が温泉街のなかをひそやかに流れているという、地図でしか説明できないうれしい事実があります。川のそばを歩くと、どちらの県にいるのか、すこしわからなくなる。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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