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この場所の物語
桂川に沿って家並みが続いて、その奥にすぐ山の急斜面がある、という地形が都留のふだんを決めているんですよね。御坂山地と丹沢山地がぐるりと囲んでいるから、町の中にいてもつねに山の気配がそこにある。家中川小水力市民発電所が川のそばで静かに動いているのを見ると、水と暮らしが昔から近かった土地なんだなあ、と思います。
甲斐絹という言葉を、都留市商家資料館の大正期の建物の前で聞くと、ちょっとした重さがあります。和洋折衷の問屋建築に、織物産業で栄えた時代の手触りが残っていて、それが今の町の骨格にもなっているんです。石船神社にムササビが棲んでいるとか、生出神社の八朔祭で大名行列が出るとか、くらしの中にそういうふしぎでいいなあと思えるものが、さりげなく置かれているんですよね。
富士急行線の駅がいくつも連なっていて、都留文科大学前という駅名があるくらい学生の多い町でもあるから、古い産業の記憶と若い人の日常が同じ通りにある、というぐあいが、都留のすこし珍しいところだと思います。御正体山を遠くに見ながら図書館で本を広げたり、水かけ菜を買って自炊したりする時間が、この場所では自然に手に入るんです。
山梨県都留市に泊まる
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