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この場所の物語
新幹線が車両基地に帰ってくる音を、ふだんの暮らしのBGMとして聞いている街って、そんなにないと思うんです。摂津市の鳥飼車両基地のそばに立つと、あの長い車体がゆっくりと収まっていく様子が、なんだかふしぎにうれしい光景でいいんですよね。淀川の沖積平野にひらたく広がる地形は、山も丘もなく、視界がすっと抜けていて、どこか落ち着いた気持ちになります。
塩野義製薬やダイキン工業、カネカといった工場や研究所が市内に根を張っているから、ふだんの買い物をする人の顔に、働く人の顔が自然に混ざっているんです。阪急京都線の正雀駅には阪急電鉄の工場があって、電車好きな人なら、駅に降り立つだけでちょっとした発見があります。毎日新聞や産経新聞の印刷も、この街の夜に行われているということを知ると、朝に手に取る新聞がすこし違って見えてきます。
淀川河川公園を散歩すると、川幅の広さと空の広さが重なって、大阪の都市部にいることをしばらく忘れるくらいです。鳥飼なすという特産品があって、この平野の土と水が育てたものを食卓に置けるというのも、長く住むほどにじわじわうれしくなる話です。延暦4年の神崎川改修にゆかりを持つ味府神社や味生神社が、ごく静かに住宅地のそばに鎮座していて、歴史がとくべつな顔をせずにそこにある、そういうぐあいの街なんです。
大阪府摂津市に泊まる
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