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伊根・舟屋の里
家の一階が、船の車庫になっている。 京都・伊根町。丹後半島の先端、伊根湾に面した漁村。約230棟の舟屋が湾を囲んでいる。 舟屋は、一階が海に面したガレージだ。そこに船を入れる。…
家の一階が、船の車庫になっている。
京都・伊根町。丹後半島の先端、伊根湾に面した漁村。約230棟の舟屋が湾を囲んでいる。
舟屋は、一階が海に面したガレージだ。そこに船を入れる。二階が住居。海と、生活が直結している。
こういう集落は、世界でも珍しい。重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
湾内を遊覧船で回ると、全景が見える。水面すれすれに、舟屋が並ぶ。その光景は、日本の他のどこにもない。
京都市内から車で2時間。でも別の世界がある。
伊根に来るのに、理由はいらない。
舟屋の並ぶ湾を、一度見れば、それで十分だ。
漁師の暮らしが、建築になった場所。
海の上に、家が建っているんです。
伊根湾の縁を一周するように並ぶ舟屋群は、1階が船の車庫で、2階が居間という、ちょっとふしぎな造りをしていて、湾口の青島が波を受け止めてくれるから、水面がいつも鏡みたいに落ち着いているんですよね。遊覧船に乗って海側から眺めると、軒先がそのまま水に触れているように見えて、江戸時代からこの場所で繰り返されてきた漁師の朝の気配が、すっと伝わってくる気がします。
向井酒造で地の酒を買って、へしこや岩がきを肴に、舟屋の2階から湾を眺める夕方というのは、滞在の時間の使い方として、なかなかぜいたくだなあと思うんです。天橋立駅からバスで1時間ほどかかる不便さが、逆にこの場所の静けさを守っているようで、PC一台で仕事をしながら数週間ここに根を張る暮らしも、想像するとすごく具体的に描けてしまいます。
浦嶋神社や新井崎神社には、浦島太郎や徐福といった、どこか海の向こうへ繋がる伝説が残っていて、日本の漁村に来たはずなのに、もっと古い、大陸と海峡のあいだにあった時間に触れているような、おもしろい感覚があります。新井の千枚田が山の斜面から海へ向かって降りていく景色も、ここでしか見られない重なりで、伊根という場所は、海と山と人の営みが、ほんとうに近い距離で並んでいるんだなあと気づかせてくれます。
京都府伊根町に泊まる
この地に重なるもの
- 丹後天橋立大江山
- 太鼓山
- 伊根
- 新井
- 浦島