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この場所の物語
手取川の伏流水が地面の下を流れているせいか、この平野の土は、どこかしっとりとした重みがあるんですよね。いちじくやしいたけが育つ畑のそばを旧国道8号線が走っていて、その道沿いに骨材会館があったりする、ちょっとふしぎな景色が川北町らしいといえばらしい。
島集落という言葉が残っているように、手取川の氾濫をかわしながら人が集まってきた歴史がこの土地にはあって、そこに電子部品や液晶ディスプレイをつくる工場が隣り合っている。金沢への通勤圏でありながら、虫送り太鼓や手取の火祭りがふつうに続いているのは、暮らしの根っこがちゃんと残っているからだと思うんです。
加賀雁皮紙という工芸紙の名前を見つけたとき、この町にそういう繊細なものがあるんだなあ、と少しうれしくなりました。北國大花火川北大会の夜だけでなく、ふだんの日にも、川沿いの細長い地形をゆっくり歩いてみると、工業と農と祭りがひとつの平野のなかで並んでいる、その具合がよくわかるんです。
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