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この場所の物語
守口大根というのは、ほんとうに細長い野菜なんですよね。地面の奥深くまですっと伸びて育つ、あの大根が、この平らな濃尾平野の土の下にぎっしり並んでいると思うと、なんだかすこしおかしくて、うれしくなります。木曽川が北の端をゆったり流れて、扶桑町はその扇状地の上にひろがっています。
名古屋駅まで三十分ほどという距離感が、ここの暮らしのぐあいをちょうどよく整えているんだなあ、と思います。都心に出られるけれど、帰ってくる場所は守口漬の香りが残るような農の町で、それがふだんの暮らしの背景になっているんです。扶桑文化会館には花道が常設されていて、歌舞伎専用の設計だというのも、ベッドタウンという言葉だけでは収まらない、この町の層の厚さを感じさせます。
正覚寺には円空仏の十二神将が残っていて、江戸時代の養蚕の記憶を持つ川田家住宅も、すこし歩けば出てくる。覚王寺の本堂は国登録有形文化財で、境内に立つと、この土地がずいぶん長い時間をかけて今の姿になったんだなあ、と静かに実感できます。農業と歴史と、ちゃんと生きた暮らしが、同じ平野の上に重なっているんですよね。
愛知県扶桑町に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 柏森
- 扶桑
- 木津用水
駅