鍋・汁
鳥取県 米子市
親がに汁
さちとあじ · FOOD & DRINK
小ぶりの雌蟹を丸ごと汁で煮る。内子と外子が出て、汁が濃い色に変わっていく。
この場所の物語
ひと月半しか作れない汁が、家々の食卓にふつうに並びます。鳥取で親がにと呼ぶのは、ずわいがにの雌のことです。雄のほうは松葉がにと呼ばれて、値も名前も大きくなります。雌は小ぶりで、甲羅のなかに内子、腹に外子を抱えているんですよ。味噌もふくめて旨みが詰まっているので、汁に入れる具はできるだけ減らすのだそうです。
蟹は水から入れて、じっくり煮ていくんですよ。すると蟹の出汁が出て、一緒に入れた大根にしみていきます。漁は11月に解禁されて、12月の末には終わってしまいます。だから、ひと月半しか作れない汁なんですよね。それが県内の店では安く買えて、家々の食卓にふつうに並ぶんですよ。
よその土地では、せこがにやせいこがにと呼ばれる蟹です。その落差が、この汁のいちばん不思議なところだと思いました。子を持った雌を食べる季節を、そこで区切ってあるということでもあります。汁の色は、煮ているうちに濃く変わっていきます。内子の赤が、そのまま溶け出してくるからです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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