温泉
この場所の物語
豊沢川のせせらぎが、ここでは時計の代わりをしているんです。大沢温泉は、平安のむかしに発見されたと伝わる湯で、その長い時間がまだここに流れているような感じがするんだなあ。弱アルカリ性の湯は肌にするりとなじんで、浸かるほどに体がほどけていく。
一軒宿でありながら、山水閣、菊水館、自炊部と顔がいくつもあって、長期滞在する人にはうれしい自炊部がちゃんと生きているんです。旅館としても湯治場としても使えるから、生活の拠点としての奥行きがふつうじゃない。豊沢川のほとりに開いた大沢の湯は混浴の露天風呂で、川音を聞きながら歩いてたどり着く、その道のりごと湯の一部みたいなんです。
2023年に生まれ変わった茅葺きホールを歩くと、古いものの手触りがすこしちがう形で続いているのがわかる。訪日客にとっては、ここにしかない民間信仰の気配が、ふしぎとやさしく迎えてくれるはずです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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