ONSEN
栃木県
奥鬼怒温泉
Oku-Kinugawa Onsen
温泉
バスを降りてからが、ほんとうの旅のはじまりなんですよ。女夫渕からさらに送迎バスか、あるいは自分の足で一時間ほど歩く。その道のりがあるからこそ、湯に浸かったときの「ああ」がちがうんだなあ。鬼怒川の源流がつくる渓谷のなかに、加仁湯、八丁の湯、日光澤温泉、手白澤温泉という四つの一軒宿がぽつりぽつりと点在しているんです。
加仁湯には五つ、八丁の湯には八つもの源泉があって、それぞれの湯船がすこしずつちがう表情を見せてくれる。昭和のはじめに温泉郷として形づくられ、電気が届いたのもずいぶんあとのことだったから、時間のながれ方がふだんの暮らしとはべつものなんです。
長く泊まるなら、その「べつものの時間」にからだごと預けてしまうのがいい。多拠点で暮らすひとにとっては、ここは「もどる場所」のひとつになりうる静けさがある。海の向こうから来たひとには、日本の山奥にこういう湯の文化がひっそり残っていること自体が、ちょっとふしぎな体験になるはずです。
歩いて、浸かって、また歩く。それだけで一日がまるく終わるんだなあ。
ONSEN
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