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ONSEN 山口県
一ノ俣温泉
Ichinomata Onsen
TIER2
温泉

澄んだ水が、まず目に入るんです。山のふところに抱かれた小さな温泉地で、水の透きとおりかたがふつうじゃない。一ノ俣温泉は明治のころに人の手が入りはじめて、大正になってようやく浴場ができた、ずいぶんゆっくり育ってきた湯なんですよ。

アルカリ性の硫黄泉は肌にやわらかく触れて、浸かっているとからだの輪郭がすこしぼやけるような、ふしぎなゆるみかたをするんです。芳玉旅館のように源泉そのままの浴槽を持つ宿もあって、湯治という時間の使いかたがいまも静かに続いている。

長く滞在するなら、この「なにもなさ」がむしろ暮らしの土台になるんだなあ。バスで揺られて降り立つまでの距離が、ふだんの自分をちゃんと遠ざけてくれる。多拠点で動く人にとっては、立ち止まるための場所として覚えておくといいんです。

海の向こうから来た人には、日本の山あいにこういう素朴な湯治の文化がまだ息づいていること自体が、ちょっとした発見になるはずです。歩いて、浸かって、また歩く。それだけの一日が、ここではちゃんと成り立つんですよ。

基本情報
所在山口県

山口県下関市豊田町にある温泉。一位ヶ岳(豊田富士)の麓に位置し、アルカリ性単純硫黄泉で知られている。明治期の開発から戦後の本格化を経て、現在も複数の宿泊施設で湯治が続いている。

地図
歴史
明治10年温泉開発着手, 明治44年泉源掘削, 大正2年浴場竣工, 昭和38年泉源組合結成, 昭和41年民間経営開始
アクセス
山陰本線滝部駅からバス約35分、山陽本線小月駅から無料シャトルバス約45分、中国自動車道小月ICから車約45分
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