ONSEN
熊本県
日奈久温泉
Hinagu Onsen
温泉
細い路地に足を踏み入れると、木造の三階建てがすっと目の前に立ち上がって、ちょっと息をのむんです。明治の終わりや昭和のはじめに建てられた旅館が、こんなにまとまって残っている場所は九州でもほかにないんだなあ。不知火海の海岸沿いに開けたこの町は、一四〇九年に浜田六郎左衛門が見つけた湯にはじまり、やがて藩が営む湯として人が集まるようになったそうです。
登録有形文化財の金波楼にはいまも泊まることができて、ふだんの時間のなかに歴史がすうっと溶けている感じがするんですよ。長く滞在するなら、路地を歩いて湯に浸かって、また歩く、その繰り返しがそのまま暮らしのリズムになっていく。生活の拠点としてみると、海があって竹林があって、町の規模がちいさいぶん静けさがちゃんとある。
訪日の旅人にとっては、観光地として整えられすぎていない「そのままの日本の温泉町」がここにあるということが、いちばんふしぎでうれしい発見になるんじゃないかとおもいます。
ONSEN
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