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この場所の物語
湧水が、地面のすぐそこから、ほんとうに静かにあふれているんですよね。忍野八海の水は、富士山の伏流水が長い時間をかけてここに出てくるもので、その透明さはちょっと、こちらが黙ってしまうくらいです。海抜九百メートルを超える盆地の底に、その水がずっとあり続けている、というのが、この土地のいちばん奥にあるものだと思います。
岡田紅陽写真美術館に足を運ぶと、富士山がいかに長く「見られてきたか」がわかって、なんだかうれしくなります。信仰の場として、芸術の源として、この村は富士山とずっと向き合ってきたんですよ。忍草浅間神社の本殿が今も重要文化財として残っているのも、そういう積み重ねのひとつです。
淡水魚の養殖が産業として根づいていることや、さかな公園の水族館があることも、この土地の水との付き合い方をよく表していると思います。ふだんの暮らしの中に、湧水がごく自然に織り込まれている、その感じが、ここに長くいるとじわじわわかってくるんです。杓子山への登山道も近く、水を見て、山を歩いて、一日がするりと過ぎていく村です。
山梨県忍野村に泊まる
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