ONSEN
徳島県
新祖谷温泉
Shin-Iya Onsen
温泉
ケーブルカーに乗って、湯へ向かうんです。それだけで、もうここは「ふつうじゃない場所だ」とわかるんだなあ。徳島の山奥、祖谷の谷あいに、この温泉が生まれたのは1988年のこと。過疎になっていくこの土地を、なんとかしたいと思った人たちが、地面を掘って湯を引いた。
そういう切実さが、湯の底にすこし沈んでいるような気がするんです。単純硫黄泉は、やわらかく体にまとわりついて、浸かっているうちに、じぶんの時間がゆっくりになってくる。一軒宿のホテルかずら橋に泊まると、その静けさがまるごとじぶんのものになる感じがして、うれしいんですよ。
生活拠点として長く置くには、あまりにも山が深い。でも、それがここの素の表情なんです。訪日客にとっては、ケーブルカーと硫黄の湯と谷の沈黙が、日本の「秘境」という言葉を体で覚える時間になる。歩くだけで、空気が違うのがわかります。
ONSEN
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