ONSEN
秋田県
小安峡温泉
Oyasukyo Onsen
温泉
渓谷の底から、熱い湯気がごうごうと噴き上がっているんです。小安峡温泉というところは、地面そのものが温泉を抑えきれないような、ちょっとふしぎな場所なんですよ。皆瀬川の岩壁から吹き出す大噴湯は、ふだん静かな山あいの景色を一変させる力があって、歩いているだけで足もとから大地の体温が伝わってくるんです。
慶長の頃から人が浸かりに来ていたというから、この湯とひとの付き合いはずいぶん長いんだなあ。かつて秋田藩の保養地として認められていた湯本は、大火をくぐり抜けて、いまは民宿を中心にした十九軒ほどの小さな温泉街として静かに息をしています。
飲泉場や足湯がぽつぽつとあるので、泊まる日々のなかに「ちょっと湯まで」という散歩の習慣が自然にできるんです。長く滞在するなら、この距離感がうれしい。バスでおよそ一時間かかる山奥という立地が、かえって暮らしのリズムを整えてくれます。
訪日の旅人にとっては、噴湯という自然のちからを目の前で見られること、それ自体がここにしかない体験なんですよ。
ONSEN
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