ONSEN
長野県
大町温泉
Omachi Onsen
温泉
白樺とカラマツの林が、道のりょうがわにすうっと続いているんです。大町温泉というのは、もともと山奥の葛温泉から湯を引いてきて、計画的につくられた温泉郷なんですよ。だからふつうの温泉街とはすこし空気がちがって、別荘地のなかに宿が点在しているような、しずかな間合いがあるんです。
黒四の発電所に資材を運ぶための道ができて、その道すじに人が泊まる場所がうまれた、という順番がふしぎなんだなあ。薬師の湯に浸かっていると、ここの湯はよそから旅をしてきた湯なのだと、ちょっと思い出すんです。宿と宿のあいだを歩くと、あいどう路あたりに人の気配がぽつぽつあって、それくらいの密度がちょうどいい。
長く泊まるなら、この「つくられた静けさ」がむしろ暮らしやすさになるんです。多拠点で動いている人には、信濃大町駅からバスで揺られる三十分ほどの距離が、日常と湯のあいだの切り替えになる。はじめて日本に来た人にとっては、アルペンルートの玄関口という立地そのものが、ここにしかない入口なんですよ。
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