温泉
湯に手を浸すと、すこし驚くんです。ふつうの温泉とはちがう、ぬるりとした濃さが肌にまとわりつくような感触がある。曲水温泉の湯は高張性で、からだの奥へじわじわ染みこんでいく性格を持っているんですよ。金沢温泉郷のなかでも、ちょっとふしぎな存在感のある一湯なんだなあ。
一度閉まった湯が、また開いた。飛騨から運ばれてきた築二百年の古民家が、七曲温泉という名の宿としてここに据えられて、あたらしい時間が始まったんです。長く滞在して浸かるたびに、神経痛や肌のこわばりがほどけていくような、そういう湯治の手ざわりがふだんの暮らしに近づいてくる。
金沢の街なかにありながら、歩いてたどりつく先にこの静けさがあるのは、多拠点で暮らすひとにとってうれしい距離感だと思うんです。訪日の旅人には、古い木組みの空間でこの濃い湯に浸かるという体験そのものが、ここにしかない記憶になるんだなあ。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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