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この場所の物語
珊瑚の石垣がそのまま残っている集落というのは、いまの日本ではそうそう出会えるものではないと思うんです。与路島は、奄美群島の南のほうにある小さな有人島で、古仁屋港から町営連絡船「せとなみ」に揺られて、波しだいで一時間ちょっと。船が欠航することもふつうにあるという、そういう距離感の島なんですよね。
夏になるとサガリバナが咲いて、向かいにはハンミャ島という白砂の無人島が浮かんでいる。ウス瀬や立瀬といった岩場ではハタが釣れて、海はそのまま暮らしの一部としてある感じがします。明治の初めには七百人を超える人が住んでいたという話で、いまは静かに人が減っていくなかで、珊瑚の石垣だけがずっと同じ顔をして並んでいるんです。
観光と漁と、すこしの畜産と。クールジャパンアワードを受けた集落景観は、誰かのために整えられたというより、ふだんの暮らしがそのまま続いてきた結果なのだろうなあ、と思います。短く訪れるにも、しばらく腰を落として通うにも、たぶん島の側はあまり姿を変えない。そのぐあいが、いいんですよね。
与路島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 与路島
離島