鍋・汁
秋田県 三種町
じゅんさい鍋
さちとあじ · FOOD & DRINK
沼で摘む蓴菜を鍋に入れる。舌の上で滑って、味はほとんど無い。
この場所の物語
摘む人の数だけ、鍋の速さが決まるんですよ。葉が育ちすぎると値が落ちるので、時間との勝負なのだそうです。いまも、箱舟に乗って、ひとつずつ手で摘んでいます。夏のあいだ、女たちが沼に出ている風景が続いてきました。秋田県にある三種町の話になります。
じゅんさいは、淡水の沼に生える睡蓮の仲間の水草です。昔のほうは、ぬなわと呼ばれていました。三種町の角助沼が自生の地でしたが、まわりが変わって、数を減らしていきます。この土地の食べものを絶やすまい、という思いから、沼を開いて整える仕事が始まりました。
鍋は、比内地鶏で取ったスープに、牛蒡や芹、葱、きのこ、豆腐を入れます。じゅんさいは、自分の食べるぶんだけを入れて、色が緑に変わったら取る。舌の上で滑るばかりで、味はほとんどありません。旬は6月から8月にかけてで、秋田では夏の鍋と呼ばれています。摘む時期と、食べる時期が、そっくり重なっています。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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