ONSEN
宮城県
秋保温泉
Akiu Onsen
温泉
川が削りだした岩の渓谷を見おろしながら、ふと「ここ、街からたった三十分なんだなあ」とつぶやいてしまうんです。秋保温泉というのは、仙台の都心からすこし走るだけで着いてしまう、ふしぎな近さの古湯なんですよ。湯は弱塩泉で、肌にやわらかくて、じぶんの体温がすこしずつほどけていくような、そういうおだやかな浸かり心地があるんです。
「名取の御湯」と呼ばれて皇室にも届けられたという由来が、千三百年ぶんの時間をこの土地に静かに積んでいる。磊々峡のそばを歩くと、名取川の水音がずっとついてきて、ふだんの暮らしのリズムに戻してくれるような気がします。佐藤家が湯守をつとめてきた歴史のある場所だから、泊まるたびに「ここは誰かがずっと手入れしてきた湯なんだ」という安心がある。
長く滞在するなら、街との行き来がらくなぶん、生活の一部として湯を使えるのがうれしいところです。訪日の旅人にとっては、都市と古湯がこんなに近いという距離感じたいが、ちょっとした発見になるんじゃないかなあ。
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