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この場所の物語
多摩川沿いを歩いていると、川の向こうにマンションが見えて、足元には土の匂いがあって、なんだかふしぎな場所だなあと思うんですよね。狛江市は、小田急小田原線で都心とひと続きになりながら、野川緑地公園や岩戸川緑地公園といった、かつての川の跡をそのまま緑に変えた道が市内を横切っていて、散歩するたびに地形の記憶みたいなものに出会う。
枝豆をはじめとする狛江ブランド野菜が、今もこの小さな市で育てられているというのは、都市のただなかに農の時間がちゃんと残っているということで、それがこの土地の体温みたいになっているんですよ。駅前のエコルマで日用品を揃えて、和泉多摩川商店街をぶらぶらして、夕方には多摩川の土手に出る、そういうふだんの一日が、ここではわりと自然に組み立てられる。
縄文の昔から人が住んでいた土地で、鮎漁も砂利採掘もあった川沿いに、いまは散歩する人たちがいる。大きくはないけれど、ちゃんと生活の層が積み重なっている、そういう手触りの場所なんですよね。
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