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この場所の物語
土のにおいが、どこからともなく路地にただよっている。益子町では、窯元が日常の風景にそのまま溶け込んでいて、益子焼の器が観光品としてではなく、ふだんづかいの棚に並んでいるんですよね。濱田庄司記念益子参考館に足を踏み入れると、自邸と窯跡がそのままの姿で残っていて、世界中から集められた民藝品と向き合いながら、「つくる」ということの長い文脈をゆっくり感じることができます。
真岡線の小さな駅を起点に、歩いたり、立ち止まったりしながら過ごせる町の粒度がちょうどよくて、PCを持ち込んで数週間暮らしてみたくなる気持ちがわかる気がします。益子陶器市のときだけでなく、ふだんの日にもろくろを回す音が聞こえてくるような、そういうペースの土地なんです。
訪日客にとっては、民藝という言葉がここでは概念ではなく、手で触れられる物として目の前にある、というのがおもしろいんですよね。益子陶芸美術館で濱田庄司や島岡達三の作品を見たあと、すぐ近くの窯元で同じ土から生まれた器を手に取れる、その近さがこの町の固有のぐあいだと思います。
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