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この場所の物語
菱浦港に降りると、フェリーの汽笛がゆっくり遠ざかって、あとはしばらく、波の音しかしないんですよね。
松江から船で渡るこの中ノ島には、後鳥羽上皇が流された歴史と、小泉八雲が八雲広場のあたりで過ごした記憶が、ふだんの暮らしのすぐそばに置かれていて、なんだかすこし、ふしぎな時間の重なりかたをしている。天川の水は清水寺の境内から湧き続けていて、島の自給的な暮らしを、ずっと下から支えてきた水なんです。
「島まるごと図書館構想」という言葉があって、海士町中央図書館を核に、島全体を学びと交流の場として開いていこうとしている。キンニャモニャセンターで隠岐民謡キンニャモニャの名前を見かけたとき、この島が外へ向けて扉を開きながら、自分たちの根っこをちゃんとたのしんでいるんだなあ、と感じた。
島前高等学校の「島留学」で全国から学生が来ている、という話は、この島が単なる観光地でも、ただの過疎地でもない、という証明みたいなものだと思う。PC一台で仕事をする人も、神楽の祭事を追いかける人も、菱浦湾の景色をただ眺めたい人も、それぞれに「ここに来た理由」を見つけられる、そういう余白のある島なんです。
島根県海士町に泊まる
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