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埼玉県東秩父村

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埼玉県 / 東秩父村
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この場所の物語

槻川の最上流まで来ると、山がぐっと近くなって、空気の手触りが変わるんですよね。埼玉で唯一の村として残るこの場所には、細川紙の産地として1300年近く続く紙すきの営みが、いまも静かに息をしています。

和紙をすく音というのは、水の音なんだなあ、と思います。職人が槽に手を入れて、繊維をならして、一枚の紙をつくる。その手つきが、この村の時間の単位になっているんです。手すき和紙は、かつて紙幣用紙の生産にも使われてきた確かさを持っていて、ふだん使いの紙とはすこし違う密度があります。

山間部の暮らしは、外秩父山地に囲まれた地形のぐあいもあって、余計なものが入ってきにくい。それがいいんです。PC一台で仕事をしながら、夕方に槻川沿いを歩いて、宿に戻って細川紙の手触りを確かめる、そういうふだんの一日が、ここではちゃんと成立する気がします。紙という、どこの国でも知っているものの、その起点に立てるというのは、訪れた人にとっても、すこしふしぎでいいなあと思える体験なんじゃないかと。

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