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この場所の物語
呉春の酒蔵が昔からこの土地にあって、池田炭で火を熾した台所のにおいが、どこか路地の奥に残っているような気がする池田は、阪急電鉄の創業の地でもあるんですよね。阪神間モダニズムという言葉が示すとおり、小林一三が育てた文化のにおいが、逸翁美術館のあたりにまだ漂っていて、ふだんの散歩の途中にそういう空気と出会えるのが、いいなあと思うんです。
五月山の緑が市街地のすぐそばまで下りてきていて、石橋商店街をぶらぶらしたあとに、そのまま山のほうへ歩いていける距離感が、日々の暮らしをちょうどよくほぐしてくれる。カップヌードルミュージアムには、インスタントラーメン発明の歴史がまるごと収められていて、「ここで生まれたのか」と、発明というものをすこし身近に感じられるんです。
池田市民文化会館・アゼリアホールに専属のジャズオーケストラがあるというのも、この町らしいなと思って、産業と文化がちゃんと地続きになっている感じがする。久安寺のもみじまつりや呉服神社の十日恵比寿など、祭りのリズムが暮らしの中にきちんと組み込まれていて、ここに根を張って生きている人たちの時間の使い方が、のぞいて見えるようなんですよね。
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