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この場所の物語
砂州で結ばれた大島・小島・与崎が、ひとつの八島という島になっている。本州から十二キロ沖、定期船が一日に三便だけ通うこの島は、瀬戸内海国立公園のいちばん南のはじっこなんですよね。港から歩けば、カシワとビャクシンが一緒に育つふしぎな群落に出会える。中国地方ではここだけだという、すこし不思議な森なんです。
集落の真ん中には八島診療所があって、月に二回、当番のお医者さんが本土から渡ってくる。そのリズムが、島のふだんの暮らしのテンポを、そのまま教えてくれている気がします。
平家の落人や船隠しの言い伝え、ハワイへ渡った人たちの記憶。語られてきたものが、与崎の長い岬の輪郭にゆっくり溶けていて、夏のひととき海水浴の声で賑わったあとは、また静けさが島を覆っていくんです。ここに何日か身を置いてみると、自分のなかの時計の刻み方が、すこし変わってくるのかもしれません。
八島に泊まる
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