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この場所の物語
水牛車がゆっくりと浅瀬を渡っていく音だけが、しばらく耳に残るんですよね。西表島の与那良川が運んだ砂でできたという由布島は、歩いて五分ほどで一周できてしまう小さな島で、ヤシ類と亜熱帯植物が島ぜんたいを覆っている。マングローブの西岸と砂浜の東岸、その二つの表情が地続きになっているのが、ちょっとふしぎな感じがするんです。
ここはかつて集落があって、エルシー台風で壊滅したあとに植物園として歩き直した場所なんだなあ、と知ると、見えるものの手触りがすこし変わる。パイナップルやサトウキビの畑、種子取祭の名前、由布遺跡。短い滞在で通り過ぎてもいいし、八重山に長く居ついて何度も水牛車に揺られてもいい、そういう懐の深さがある。
旅の途中で寄るにも、八重山に拠点を持って暮らしのリズムに組み込むにも、この島の十分ほどの渡しはちょうどいい間合いなんですよね。遠くから来た人にとっては、海を歩いて渡るというだけで、もう忘れられない時間になると思うんです。
由布島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 西表石垣
- 由布島
自然公園
離島