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この場所の物語
練り壁の家並みのあいだを歩いていくと、石を積んだ細い路地が海へ続いているんですよね。万葉集に「伊波比島」と詠まれたこの祝島は、古代からの航海の目印で、いまも神舞神事が島の時間の節目をつくっている。漁と農がひとつの暮らしのなかで重なっている、すこしふしぎな島なんです。
平さんの棚田は、重機を使わずに一人で積み上げられたものだそうで、石垣のひとつひとつに手の跡が残っている。祝島市場には鯛やびわ茶、石豆腐や寒干し大根が並んでいて、買い物に出るだけでこの土地の食べものの輪郭が見えてくる。
柳井から室津港へ、そこから定期高速船で四十分という距離は、ふだんの暮らしから少しだけ離れるのにちょうどいい間合いなんですよ。民宿に何泊か身を置いて、棚田の段をのぼってみる。漁師の朝と農家の夕方が同じ集落のなかにある、そういう日々の重なりを、外から来た人もしばらく分けてもらえる島なんだなあ、と思います。
祝島に泊まる
この場所の中身
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