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この場所の物語
鹿児島港から週に三便、村営船みしまに乗ってようやくたどり着く島がある。外周は断崖で、山腹に民家が散らばり、島全体が照葉樹と大名竹に覆われているんです。東の大里と西の片泊、たった二つの集落をつなぐ県道がぐるりと走っていて、ふだんの暮らしの輪郭が、地形のかたちにそのまま沿っているんだなあ、と思う。
塩手鼻の浸食崖にはイシダイを狙う釣り人が来るし、薩摩黒島の森林植物群落は六百メートルを超える標高差のおかげで、ふしぎな植生をかかえている。平家城跡や平家落人の伝説が、観光地らしく整えられるでもなく、ただ山の中にある、というのがいいんですよね。
椎茸やベニオトメというサツマイモ、みしまという芋焼酎、木炭。焼畑や放牧で続いてきた仕事が、いまも特産として手元に残っている。腰を据えて長く過ごしてみたい人にも、別の拠点として通いたい人にも、はるばる海を越えて来てみたい人にも、それぞれちがう手触りで受け取れる島なのだと思います。
黒島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 黒島
離島