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この場所の物語
うしま丸という小さな船が、室積港から一日に三度、牛島へ通っているんです。周囲十二キロほどのV字型の島で、海岸の多くは断崖、東側にだけ平茂海岸の玉石が九百メートルほど続いている。船が着くと、漁港のまわりに人の気配がぽつぽつとあって、ふだんの暮らしの音が静かに聞こえてくるんですよね。
平安のころは牛の放牧地だったという話が、島の名前にそのまま残っている。教念寺や牛島八幡宮のような小さな祈りの場所が今もあって、瀬戸内海でここにしかいないというカラスバトが、断崖の森のどこかで暮らしているんです。
診療所は週に一日だけ開く、というぐあいの島で、観光地らしい賑やかさはない。けれど室積からの船便はちゃんと毎日通っていて、本土とのつながりは細く、たしかに保たれている。玉石の浜を歩いて、波止の古い石組みを眺めて、それだけで一日が満ちてしまうような場所なんだなあ、と思います。
牛島に泊まる
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