祭事
岩手県一関市東山町長坂字町裏467
猊鼻渓の紅葉
Geibikei Gorge: The Song Comes on the Way Back
祭事 · Festival
帰りの舟で、船頭が唄う。
猊鼻渓。
行きは、川をのぼる。
棹を一本、岸の岩に突いて、
舟をゆっくり押し上げてゆく。
そのあいだ、唄はない。
石灰岩の壁が、両岸に立つ。
白い。
その白の上から、赤が降りてくる。
十月なかば、まず高いところが色づいて、
水ぎわが染まるころ、いちばんになる。
折り返して、舟が向きを変える。
あとは流れに乗るだけ。
そこで、げいび追分がはじまる。
明治のころ、この土地の人が北海道へわたって、
江差追分を習って帰ってきた。
海の唄が、山の谷にある。
舟の首は、尖っていない。
平たくて、広い。
馬を渡していたころの形を、そのまま受け継いでいる。
杉で、ひと月かけて造る。
同じ水の上を、二度通る。
のぼるときと、下るときで、
見えるものが変わるんですよ。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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