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この場所の物語
鰹節の匂いが残る島、と聞いて思い浮かべる風景と、いま鳩間島に立ったときに目に入る風景は、たぶん少し違うんです。かつてカツオ漁で人口七百人を超えた島は、いまは六十五人ほど。それでも下り井戸(アンヌカー)やブシヌヤーといった石の遺構が、十五世紀からの暮らしを静かに留めているんですよね。
中央に盛り上がった鳩間中森にのぼると、丘陵の向こうに「鳩間ブルー」と呼ばれる海が広がっていて、いとま浜や屋良浜のあたりまで、目だけでぐるりと一周できてしまう。円い小さな島だから、滞在の時間軸も自然と一日単位ではなく、何日かまとまった単位になっていくんだろうな、と思います。離島留学で子どもたちが集い、民宿や食堂が少しずつ増えてきたという、その「やり直しの島」のぐあいが、ふだんの暮らしを持ち込んで数日泊まる人にも、ちょうど似合いそうなんです。
石垣港から高速船で四十分、いとま浜ターミナルに降り立てば、もうそこが島の入口。豊年祭や結願といった願いごとの祭祀が一年を通して続いていて、友利御嶽を中心に小さな共同体がいまも回っている。遠くから来た人にとっては、観光地としてではなく、ひとつの島がもう一度立ち上がっていく途中の景色に立ち会う、そんな手触りがあるんですよね。
鳩間島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 鳩間島
離島