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この場所の物語
波止浜から小さな定期船に乗って、来島を経由してたどり着く琵琶のかたちの島。周囲三キロほどの陸地に、二十一世帯、三十三人が漁業や農業、海運の仕事をしながら暮らしているんです。集落と港は南側にぎゅっと寄っていて、歩けばすぐに島のかたちが体でわかってくる、そんな大きさなんですよね。
島のあちこちに残っているのが、明治の終わりに完成した芸予要塞の跡で、砲台や司令塔、探照灯、兵舎跡が、来島海峡を見下ろすように静かに置かれている。日露戦争の頃に築かれたものが、いまも草や木に混じって、ふだんの暮らしのすぐとなりにあるのが、すこしふしぎなぐあいです。
しばらく腰を下ろして本でも読みたい人にも、いくつかの拠点のひとつとして島時間を持っておきたい人にも、瀬戸内の歴史と海をまるごと小さく味わいたい旅人にも、この島はそれぞれちがう顔を見せてくれる気がする。三十三人の暮らしと、要塞跡の石と、海峡の潮の音。それだけで島はもう、十分に島なんだなあ、と思うんです。
小島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 小島
離島